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みっくみくにしてやんよー [その他7]

『AI vs 教科書が読めない子供達』(新井 紀子 著 東洋経済新報社 2018)

 読んだ。「東ロボくん」プロジェクトの人である。東ロボプロジェクトは、AIが東大入試に合格するのが目的じゃ無くて、実は大学入試問題に挑戦することによって現段階のAIがどの分野に強いか、どんなアプローチ方法だと知能を実現出来るかなどを探るプロジェクトだったのだねぇ。東大には合格出来ていないけど、MARCHレベルだと十分合格圏内の成績になっている。これは受験生の上位20%くらいなんだけど、これは裏を返せば8割は現在実現しているAI以下って事なんだね。
 AIで数学の問題を解くのが意外と難しい、文章題を理解出来ないのだ。「意味を理解する」というのが、論理確率統計だけでは実現出来ないことが顕わになったのだ。

 東ロボと同時期に筆者は「大学生数学基本調査」のプロジェクトを始めた。これは、大学生が大学の数学を勉強する準備が出来ているのか調べる調査だったのだが、この調査を通じて、学生の数学力よりも、学生の読解力に格差がある事に気がついたのだ。文章題などの読解力と大学のレベルに明らかな相関がある。この文章の読解力とは、小説の読解や評論の解釈以前の「文章を読んで理解する」ことであり、大学受験勉強の範囲外であるから、読解力の有無が人生を決めてしまうということになる!!この「文章の意味を理解出来ない」と言うのは、AIと同じような物じゃ無いか!!
 そして東ロボくんの勉強を元にした、RST(リーディングスキルテスト)を開発。中高生で調査した結果、読解力の差が成績に直結しており、読解力があれば受験勉強は教科書を読めば理解できるので楽勝、無ければ大量のドリルと暗記をする他は無い、という恐ろしい結論になる。
 AIは意味の理解を必要としないデータ整理やフレームが決まった作業などでは人間よりも強力なので、文章が理解出来ない人材はAIに負けてしまう。だから日本の今後の教育は、プログラミングや英会話よりも前に、文章を理解する訓練だ、と言うのが結論。

 いやこの本は僕がうすうす感じていた事を見事に喝破しており、全国民必読です。

Seishyun Scandal (J) [!]000.png
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